Balance 其の弐

2021年10月24日

balance:バランス

1.釣り合い。均衡。調和。

2.収支、貸借の釣り合い。


バランスについて、税理士という立場から、述べてみる。

現在、事業の成績は、複式簿記に従って記録した帳簿から作成した財務諸表で表す。

貸借対照表(balance sheet )・キャッシュフロー計算書(Cash flow statement )・損益計算書(Profit and Loss Statement)がよく知られている。

資産と負債がうまく釣り合っているか、収入と支出がうまく釣り合っているか、収益と費用がうまく釣り合っているかを把握するための表である。

資産>負債であることが望ましい。収入>支出であることが望ましい。収益>費用であることが望ましい。

上記の要件を満たしているときに、事業はバランスしているといえる。

収支トントンという言葉があるが、これはあまり良い言葉ではない。収支トントンはバランスしていない。

物事が常にうまく回ることはない。景気の良い時・悪い時はある。収支トントンだと、調子が良くない期間を乗り切るだけの貯えができない。

ましてや、日本という国は、天災が多い国である。台風の進路にあたり、毎年何かしら壊れる危険にさらされている。新しくできた土地の上にある国だから、しょっちゅう地震が起きる。数年に1回は地震で壊れる危険にさらされている。危険に備える蓄えも欲しい。

調子が良くない時期や危険に備えるための資金を確保しておきたい。この資金は、資産>負債である、収入>支出である、収益>費用である、という条件のもとで確保できる。とくに収益>費用によって利益を出すことが不可欠なのである。

利益を積み重ねて、危険に対する力をつけていくことが肝心。利益というのは相当な注意を払って慎重に行動しないと出せないものである。かつ、利益は出し続けなければならない。利益はすこしづつ刻んで積み立てていくものだが、損失はちょっとした不注意で大きく発生する。数年分の利益が、ほんの一瞬で吹っ飛んでしまうような事態がよく起きる。

商売は、現金を商品に変え、商品を現金に換えるという行為の連続である。現金を商品に変え、商品を現金に変える間に、オマンマを食べないといけない。できる限り早く商品を現金に変えないと、手持ち資金が尽きてしまう。仕入れた値段よりも高く売らないと、オマンマで使ったお金を回収できないし、次の商品を仕入れることができなくなる。

現金を持っている:これさえ持っていれば安心。

商品を持っている:商品は売れるかどうかわからないもの。不安である。

商売は安心と不安を繰り返す作業である。安心と不安の均衡を取るのがうまい人のことを商売上手という。

収益と費用のバランスをしっかりとること。これが一番の大事。

収益は帳簿上の数字に過ぎないから、しっかり掛け金は早期回収して現金化すること。

資産と負債のバランス整えるため、無駄な資産を持たないこと。


経営はバランス感覚を養い・維持していくこと。攻めるときは攻める、守るときは守るというのもバランス感覚を養っておかないと切り替え時を誤る。